No.603 未来は予測するものではなく創るもの ― 起業家の思考 ⑤―
今週の一句
人がいて 未来を創る 夢があり そを支えるは 人の力か
資産運用業という生業(なりわい)は何のために存在しているのでしょうか。そして誰のためにあるのでしょうか。この問いかけに答え続けられるためにはどうしたら良いのでしょうか。その意味でもエフェクチュエーションは大きなヒントを与えてくれています。資産運用業とは究極のPeople’s Businessなのです。今ある自分の経験・知識・人脈(Bird in Hand)からスタートして、許容可能な損失(Affordable Loss)の範囲で投資を実践し、共感をもった参加者(Crazy Quilt)を巻き込みながら事業を進めていき、想定外のチャンス(Lemonade)を作り出していくことなのです。そして、これは『未来は予測するものではなく創るもの』(Pilot in the Plane)というエフェクチュエーションの根幹の思想に基づくものなのだと思います。
他の金融業である銀行業、証券業、保険業と異なるのは、資産運用業は『未来に必要な価値へ今の資本を橋渡しする』という性質が強く、時間を超えて社会に選択肢をもたらす仕事であることなのだと考えます。すなわち、個人、年金などから自ら資金を預かり、どの産業・企業・技術・地域に未来を託すかを選ぶことが生業なのです。これは未来の社会の構造を作っていくということに繋がり、そこには単なる未来の予測などとは全く異なる哲学があるのです。すなわち、判断のベースは投資する(Invest)対象の企業が持続可能(Sustainable)であるか、社会にとって意味があるか、長期的に競争力があるかといった評価を常にし続けることが求められるのです。
このように、不確実な未来に対して自らの判断で社会の未来に賭けることを生業とするものは、フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary duty:受託者責任)こそが生存条件となるのです。ここが、資産運用業の決定的な特徴なのだと思います。だから、未来を当てようとするのではなく、未来に責任を持つことが資産運用業の仕事なのです。従って、その存在価値の評価は、自ら選び取った意思決定の評価であり、その再現性と下方耐性を有する投資であるかにかかっており、単なる預かり資産残高のような数字では計りしれないところにあります。資産運用業に就くにはこれだけの覚悟を持って臨むことが肝要であると考えます。
資産運用業におけるPilot in the Planeのポイント

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。