No.602 想定外を語ることこそがチャンス! ― 起業家の思考 ④―
今週の一句
酸っぱさも その素材から 得られるは 新たな味が 生まれてナンボ
「エフェクチュエーションの5つの原則」の中で“クレイジーキルト(Crazy Quilt)”が「偶然を呼び込む人のつながり」だとすると、“レモネード(Lemonade)”は「起きた偶然を価値に変える能力」のことを意味します。不確実な未来に対して、価値観を共有できる人たちを紡ぐことで一緒に進んでいくこと(クレイジーキルト)が、実際に予測できないことが発生した時に、それを問題だと排除したり、偶然として片づけたりせずに、その想定外の出来事(レモン:Lemons)を軌道修正の材料として活かし、次の戦略へと再定義すること(レモネード:Lemonade)が大切だと考えるのです。
起業をするときに1人の力の大きさはあるものの、その人が他の人を巻き込むことを決める、すなわち”Crazy Quilt”という「誰とやるか」を先に決める勇気をもつことがスタートであり、そこから進んでいく中で、想定外なことが起こった時には、それを失敗と呼ばない胆力(”Lemonade”)が必要なのだと思います。なかなか認められない『想定外が起こった時に、笑って語る空気を作ること』が、レジリエントな組織を作る大きなきっかけとなるのです。そして”Lemonade”を生み出す組織とは、多様性があり危機的状況でも柔軟な対応が出来るものです。類似な人ばかりが集まっている組織は脆弱性がみられるのとは対照的です。
これまで日本の金融はまず”Lemons”を否定することから始めてきたように感じます。失敗を生まない構造であり、減点主義を続けてきました。そのために多様な人を受け入れず、単一的な発想で安定的な運営が第一で過ごしてきたのです。こうなると想定外が起こった時に、それを材料として活かす”Lemonade”どころか、”Lemons”の否定に走ります。定量化出来るものだけに固執することも、想定外を受け入れない体質に繋がっています。ところが実は日本企業の歴史的な強さは、暗黙知の共有であり、現場の改善(カイゼン)する力にあるのです。だからこそ、リーダーが”Lemonade”の評価を出来るようになれば新たな芽も生まれるのだと思います。いよいよ想定外こそが起業の力であることを知る時なのだと考えます。
“Lemonade”の思考
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。