マーケットの見方

No.599 起業家精神の核心とは? ― 起業家の思考 ①―

今週の一句

自らの 周りを集め 顔を見る このチームとは 何処に向かうや

どのような思考回路で“起業”という発想が生まれて、実際に“起業”を実行して、さらにその“起業”の精神は活かされていくのでしょうか。それには中核となる5つの原則があると言われています。サラス・サラスバシー教授が唱えるエフェクチュエーション(Effectuation)という言葉は、通常使われている「実行」、「具現化」といった意味ではなく、意思決定論の概念として「行動によって未来を出現させる技術」として用いられています。この意図は、結果を出すために「未来を設計する」のではなく、「結果を“実行で引き出す”」ということに重きを置いているのです。起業をしようと考える人は数多くいますが、成功する人たちにはこのような共通の思考法があるというのです。

その原則のひとつめに『手中の鳥(Bird in Hand)』があります。エフェクチュエーションは、環境に適応することを目指すのではなく、まず自分が関与できる範囲を拡張することを思考することから始まります。起業を目指す中で多くの人が、環境を分析して「市場が悪い」とか「景気が悪い」など、環境分析の中で自分の道を探すことから始めますが、成功する起業家は、「自分は何を動かせるか」から始めるのです。これは不確実性が前提の世界(VUCAの時代)に適応するためにもっとも重要な発想となります。すなわち、市場は未成熟であり、顧客ニーズは曖昧で競争環境も流動的といった、正確な予測自体が不可能な状況が前提の世界では、変化に適応しながら形を作ることが大切です。その時には『手中の鳥』からスタートして、起業家が自分自身の主体性を最大化することが大原則なのです。だから、新規ビジネスや地域起業など社会課題解決のビジネスに取り組むといったときに、事業計画を立ててから人を集めるのではなく、人がいるからこそ計画がある、といった思考方法になるのです。

実は、起業家の話を聞いてもなかなか成功の理由が見出せない、という要因もここにあるのです。すなわち、誰でも出来る環境分析から、しっかりとした予測をして計画を練ってスタートすることが成功に繋がるはずだ、という思考と異なる部分があるからでしょう。正しい前提があることに拘らずにまずはキックオフして、そこからチームが学んでいく発想が、起業の第一歩なのだと考えるのです。

エフェクチュエーションの5つの原則

出所:各種資料を基に筆者作成。

※上記の文章および表は、筆者がサラス・サラスバシー氏の論文や著書を基にまとめたものであり、当社がその正確性・完全性を保証するものではありません。

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