
No.528 VUCAの時代 ― 現在のリスクとは? ① ―
今週の一句
"市場とは 人々の意思を 反映し それを取り巻く 不透明な世界"
投資信託の世界では、株価変動リスク、為替変動リスク、債券価格変動リスク、カントリー・リスクなど基準価額の変動要因についてのリスク説明を行っています。これらは、市場の中で起こる可能性について過去データに基づき分析をしているものです。ただし、今日の世界の状況を見ると、これだけでリスクを説明したと言えるのでしょうか。
今日の世界的状況を示す"VUCA"という言葉が使われるようになったのは1990年の東西冷戦以降のことです。1987年にアメリカ陸軍戦略大学のカリキュラム開発資料で初めて使われたといわれており、1990年代後半からはアメリカの軍事用語として使われ始めました。そして2010年以降はビジネス用語としても使われるようになり、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」と表現されてから、将来の予測が困難な状態を意味するこの言葉は、世界中で知られるようになりました。近年、感染症の流行や自然災害、技術の進化による産業構造の変化など、世界は大きな変化を遂げており、ここ数年、世界はより難しい時代に入ったと認識されています。VUCAのVはVolatility(変動性)、UはUncertainty(不確実性)、CはComplexity(複雑性)、AはAmbiguity(曖昧性)であり、まさに市場を取り巻く情勢を表現しており、市場参加の前提を示しているとも言えるのではないでしょうか。では、だからといってこの情勢に立ち尽くしていなければならないのでしょうか。そうではなく、この情勢の中で、自分と他人の力を活かして、いかに乗り越えていくかを考えるべきなのだと思います。例えば、このVUCAの時代に適応する力として必要な力は、"VEDA"という考え方があります。VはVision(方向感覚)であり、EはEducation(学ぶこと)、DはDialogue(対話)、AはAction(行動)です。このように将来予測が難しい時代だからこそ、より先を見る力が必要であり、その中で、日々自らが学び続け、断絶が生まれないように対話を続け、そして立ち止まるのではなく行動を続けること、現代の困難と向き合うことが未来への一歩となっていくと考えるのです。
VUCAの時代について
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。