No.601 共感への道はパッチワークから! ― 起業家の思考 ③―
今週の一句
型破り 不揃いな人 集まりて 予測不能な 縁を拡げて
最初からしっかりとした事業計画を作ろうとすると、目的を明確に定めることが出来て、その前提となる市場分析も明晰かつ自分たちの競争優位も確立されているものとなるでしょう。そして詳細な計画とKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)が用意され、人員も整っていることが前提となります。このような事業計画は、安定的な市場における安定的な産業であれば可能かもしれません。ただし、起業する時や安定的な市場ではない場合はこのようにはいきません。では、どのように進めれば良いのでしょうか。
起業する時というのは、1人もしくは少数の発想からスタートする場合が多いでしょう。また、十分な人材が揃っている場合は少ないと思われます。そのような時に必要な考え方が、サラス・サラスバシー教授が唱える「エフェクチュエーションの5つの原則」における”クレイジーキルト(Crazy Quilt)”の思考だと考えます。“Crazy Quilt”とは形・大きさ・色・柄がバラバラな布を規則なしに縫い合わせたキルト(Quilt:綿などの詰まった布製品)のことです。すなわち、起業したばかりの会社では、完成度の高い計画がしっかりと決まっている場合は少なく、その状態の中で、同一の思考と方向性が定まった人材が揃っていることも難しいのです。その時に大切なことは、この状態の初期の仲間や関係者をいかに巻き込み、当事者意識をもって共に進むことが出来るかなのです。ある意味、多様な考え方にリスクが分散されており、自分たちだけで確立されていない他者の知見に対しても抵抗感なく取り入れることが出来るでしょう。このように、人材のパッチワークが起業したばかりの会社内での共感への道を歩むことになるのです。そしてこの“Crazy Quilt”は社内に留まらず、賛同者、協力者を縫い合わせながら事業そのものを形作っていくことが出来るのです。これは確固たる設計により自分が競争に勝つという発想ではなく、お客さまを共同開発者というパートナーにして他者と共創していくという発想です。
このように起業から事業を創っていくということは、計画を練りに練っていくことではなく、人と人とが繋がっていくことなのです。予測するのではなく、関係性を増やすことに未来があるのだと考えるのです。
様々なジャンルにおける“Crazy Quilt”の事例
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。