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No.594 働く人への期待値と賃金評価 ―企業経営の目指すもの ②―
今週の一句
"資本主義 競争社会に 生き残り 働く力 活かす時間に"
日本企業の賃上げモデルが世界的に見ても遅れている理由は何なのでしょうか。1950年代から1970年半ばまでの高度成長時代には賃金が上昇していましたが、バブル崩壊を招いた企業活動が、1990年代初頭以降の低成長となる中、20年を超えるデフレマインドの浸透により、労務費をコストと扱い、利益が出ても内部留保に現金を積み上げる経営スタイルに陥ったことが大きいのでしょう。それを可能にしているのが、日本企業の同質的な社員モデル、すなわちメンバーシップ型組織であり、縦割りの官僚制組織にあるのではないでしょうか。そして2008年の世界同時金融危機を経て、世界の中でもっとも企業経営が守りに入ったのが日本の企業なのでしょう。
それが今、大きな変化を見せ始めています。それは人の移動が始まったということが最大の要因です。年功序列・職能給システムが残っているオールドスタイルの企業は、既存社員の昇給を大幅に変えると賃金カーブのバランスが崩れるため、新しい賃金体系に変えたくても内部整合性が重荷となりスピードが出ない、ということから新たな労働力にとって魅力のないものになってきているのです。株式会社のステークホルダーの中で、株主に対しては株主還元に躍起になり、少しでも市場評価を得ようと走る一方で、従業員に対しては、何を評価して何で報いるのかが明確でない企業も数多くあります。国際的な競争がさらに激しさを増す中で、なぜ外資系と日系で人への評価がここまで異なるのか、そのような根本的なことに経営の意識が向かないと、競争社会で生き残ることが出来なくなるでしょう。もちろん評価は賃金だけではなく、お客さまの満足度のように、人からの評価といった定性的なものもあります。それらを含めて、働く人のモチベーションを考えていくことが、これからの日本企業の再生であり、新たな企業の芽が伸びることに繋がっていくと考えるのです。
民間主要企業における春季賃上げ率の推移
(1965年~2025年)
集計対象が異なるため厳密な比較はできないものの、2025年の賃上げ率は、1991年の5.65%に次ぐ水準となり、34年ぶりの高水準となった。
出所:厚生労働省「令和7年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」を基にあおぞら投信が作成。