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No.573 顧客志向文化が企業を救う ― マーケティングの道 ①―
今週の一句
"モノづくり 匠の技を 描いても 手にする人は お客さまでは"
モノをつくる人の動機には『この商品の良さをぜひわかってもらいたい』という強い気持ちがあることが多いのではないでしょうか。あらゆる商品を開発する目的には、他社の商品とは異なる特徴をもっていることや、斬新さを強調することで競争力を示すといったことがこれまで繰り返されてきています。そしてこの開発のベースになるのは、ほとんどの場合、マーケティングを行った結果の分析データとなります。すでにこの商品の経験をもっている顧客に対して、なぜ購入したのか、満足感はあるか、改善点があるとしたら何を希望するかといったアンケートを集めて結果を分析する方法は広く使われています。ではこのような能動的データはいかなる効果をもっているのでしょうか。
『より良い商品を開発する』というテーマを持っている企業の考え方のベースには、その商品に関する市場は成長を続けるというものがあります。だからこそ競争に勝ちさえすれば自分たちがその成長の中で勝者になるのだ、というものです。この論理の証明に使われがちなデータは、定量的であり客観的だという思い込みがあります。従ってそこで示されるデータ分析に関しては、意図的なものになる傾向が強いのです。人は客観的であることはなく、自分を正当化するためにデータを分析してしまうものなのです。この能動的データと異なり、“受動的データ”とは、顧客が苦労していたり、満たされていない苛立ちの感情であったりします。すなわち、現実の乱雑さの中に意味を見出さなければならないものであり、データと言いながらストーリーを通じてこの声をあげない“受動的データ”を自らが能動的に扱うことがイノベーションに繋がるのです。
そもそもイノベーションとは、無と競争することもあるのです。つまり、顧客の求めるものが“まだ無い”ということに機会を見出すことがあるのです。すなわち顧客志向の文化こそがこれまでの発想とは異なるものを生み出し、新たな時代へと踏み出すことが可能だということをよく理解して行動すべきだと考えるのです。
(参考:ジョブ理論 クレイトン・M・クリステンセン他著 2017年)
受動的データと能動的データ

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。