No.588 未来を考える瞬間とは? ―大阪・関西万博を振り返る ①―
今週の一句
"世界とは 近くになった 時代でも 空気感じる 時はいまなり"
大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」でした。またサブテーマとして、「いのちを救う(Saving Lives)」や「いのちに力を与える(Empowering Lives)」「いのちをつなぐ(Connecting Lives)」などが掲げられていました。会場中心に位置するシグネチャーパビリオンでは、いのちを「知る」「育む」「守る」「つむぐ」「拡げる」「高める」「磨く」「響き合わせる」という8つのテーマを掲げていました。また、万博のコンセプトには「未来社会の実験場(People’s Living Lab)」という考え方も掲げており、来場者自身が体験しながら、未来を考えることができるように工夫されていました。筆者自身は、自分が行ってみることで感じる未来が想像できたことに価値を感じました。物事は、評論を聞いているだけではなく、自分自身の目で見て、感じて、考えるべきだと改めて思ったのです。
圧倒的に進行する科学技術の発展のもと、我々が考えるべき「多様化する価値観」や「科学技術の進展」「環境問題」といったことについて、今回の万博では、未来社会を再構築するためのヒントが山盛りだったのではないかと思います。これらは、今後の人類の生活が、単なるテクノロジー頼みではなく、ウェルビーイング(Well-being)の実現であることを目指しているということだと思います。それは、あの「大屋根リング」に象徴されるように、“地球の調和とつながり”が意識されるものでした。また会場内の各国パビリオンも、“未来を共にデザインする共創の場”として設計されていました。全く予約もせずに足の向くままに入ったUAEパビリオンでは「Earth to Ether(大地から天空へ)」というテーマを、自然素材、伝統、エコロジカルな建築などで「自然との共生」を具体的に表現されていて、まさに自然を感じながら生活するという感覚をもちました。あるいは、韓国パビリオンでは、「With Hearts(こころに寄り添う)」というテーマで、録音した来場者の声をAIが加工して音楽に変えるといった心をつなぐ参加型の展示であったり、世代を超えた“情”を感じさせる映像が大スクリーンで映し出されたりしていました。
このように日常では感じられない「未来を考える瞬間」が、今年の暑い夏の日に訪れた夢洲(ゆめしま)にはあったと思うのです。
大阪・関西万博の世界の参加国・地域
* 2025年2月13日時点において公式参加表明した国・地域数
出所:公益社団法人2025年日本国際博覧会協会のデータを基にあおぞら投信が作成。