
No.524 お家芸柔道の世界での戦い方 ―日本のチームプレー ②ー
今週の一句
"柔ちゃん 柔道一直線に 進むこと 世界に広がる 道を探るや"
今回のパリ五輪で日本に最初の金メダルをもたらしたのは女子柔道48kg級の角田夏実選手で、この階級では2004年アテネ五輪の谷亮子選手以来20年ぶり、また31歳11カ月での優勝は日本女子柔道史上最年長での金メダル獲得でした。若い選手が強化選手として鍛えられる中、マイペースで着実に歩んできた結果、得意技の巴投げを貫いての金メダル獲得は個性豊かな姿でもあります。
1992年バルセロナ五輪で初めて女子種目が加わって以来、柔道は男女それぞれ体重別7階級競技の方式が続いており、さらに2024年パリ五輪では、ジェンダー平等の観点から男女同数の出場枠が用意されています。また2021年開催の東京五輪で導入された混合団体種目は、今回の大会でも再び採用されており、まさにチーム戦の様相が強くなりました。五輪の柔道競技は、男子が1964年東京五輪から、女子は1992年バルセロナ五輪から正式種目として採用され、これまで数々のドラマを生んできました。世界的な競技として広がりを見せてきた柔道という競技で、日本選手が伝えるべきは「道を極めようとする姿勢」であり、その中での心身の鍛錬だと思います。得意技の背負い投げで、過去に大会3連覇を達成した野村忠宏選手も怪我を乗り越えていく力がありました。
競技の国際化の歴史とともに、柔道は審判の主観に拠るところが大きいことから、今後は競技の評価を決めていくための努力も必要かと思います。さらなる競技の発展のために日本が果たすべき役割期待は大きいのではないでしょうか。前回大会で兄妹そろって同日に金メダルを獲得した阿部一二三選手、阿部詩選手が出場した男子66kg級と女子52kg級ですが、阿部詩選手は残念ながら2回戦で敗退してしまいましたが、続いての阿部一二三選手は見事連覇を果たすことができました。いずれも紙一重の戦いであり、一瞬の隙も許されない世界での戦いなのだと感じるのです。
五輪柔道競技 歴代金メダリスト
(1964年~2024年*)
*2024年大会は2024年7月末時点
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。