
No.520 成長機会の拡大への投資 ―骨太の方針 ③―
今週の一句
"国在りて 人の成長 促しつつ 安心安全 令和の時代"
政府は2024年6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)を閣議決定しました。今回の柱は、成長型経済の実現にあると思います。それは『社会課題の解決をエンジンとした生産性向上と成長機会の拡大』にあるのです。デジタル技術の社会実装を実現するためには、国が地方公共団体と民間事業者との連携を進める必要があり、DFFT(Data Free Flow with Trust:信頼性のある自由なデータ流通)の進捗といった国際的な枠組みでのプロジェクトを進めることも求められます。
また、AI・半導体に関しては、統合イノベーション戦略に基づき、国内投資を継続的に拡大していくことが必要であり、出資などを含めて展開していくことになります。既に明らかになっているような大規模な立地・投資を計画できるよう、世界に遜色ない水準で、税制・予算面での支援を検討していくことも述べられています。さらに教育DX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用して生活やビジネスなどを変革すること)や交通・物流DX、防災DXなど日本固有の取り組みも喫緊の課題として挙げられています。またGX(グリーントランスフォーメーション:温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電、風力発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組み)・エネルギー安全保障は、地域を越えての連携となります。その中には原子力という大きな課題への取り組みも考えなくてはならないでしょう。また宇宙分野や科学技術の振興・イノベーションの促進といった人材育成から研究開発へのサポートが必須の状況でもあります。
このように昭和時代の高度成長期以来の、産官学が一体となった日本の「成長力底上げ」への取り組みが、令和の時代になってようやく動き出しているのです。これらはすべて他人事ではなく、自分たちの生活に繋がる動きであり、我々自身が考え、行動することが肝心なのだと考えるのです。
経済財政運営と改革の基本方針2024
出所:内閣府HPよりあおぞら投信が作成