
No.550 最初から投資の時代へ ― 金融システム改革 ② ―
今週の一句
"物事の 本質的な 成長を 目指して走る 投資の時代か"
今こそ金融に求められていることは『日本再生と持続的成長に寄与する金融システム改革』であると日本経済調査協議会の金融委員会報告書において示されており、かつその目的のひとつに『家計の安定的・効果的な資産形成の促進』が挙げられています。ここで改めて思うことは、未だに個人への働きかけの言葉が“貯蓄から投資へ”であることの問題点です。これまで投資をしてこなかった個人は、金融資産は預貯金で良いと判断してきており、その考えを変えることは簡単ではありません。そもそもなぜ“これまでの投資”が個人には広がらなかったかを良く省みることが重要です。
“これまでの投資”とは、投資家間の情報格差を利用して、瞬間的な収益機会を得ることを目的とした短期的なトレーディングだったと言えるでしょう。そして、それを企図した販売活動が投資家向け営業の主流とみられることが、長きに亘り証券投資のイメージとなり、その姿に個人の皆さまが距離を感じてきたことが、大きな課題であったのではないかと思います。それに対して“これからの投資”は、数多くの情報があふれる中で、『投資とは、成長する本質的な価値に対して、自らの資金を投じること』という原則に則り、かつリスクマネジメントとして、資産・銘柄分散、時間分散(積立投資)、長期投資を実行することにより、市場の短期的なVolatility(変動性)に振り回されることなく、個人の資産形成、資産運用を目指す、ということを意味するのです。このことを幅広い年代層に伝える金融教育が必要であり、また様々なデジタル活用により、多様なお客様のニーズに合ったサポートを行うことで、金融サービスの質の向上を目指すことが重要なのです。これにより、“貯蓄から投資へ”ではなく、“最初から投資”の時代を生み出すことが、現在の金融に課せられているのだと考えます。
過去50年間の公募投資信託残高の推移
(1974年末~2024年末)
出所:一般社団法人投資信託協会 統計データ「公募投資信託‐資産増減状況」(2024年12月)を基にあおぞら投信が作成。