
No.479 G20の新たな動きと米国大統領選挙 ―アメリカの立ち位置 ②―
今週の一句
"宇宙から 今年の地球を 見た時に 青いばかりか 暑さに赤く"
インドのニューデリーで開催された20ヶ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせ発表された「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」は、アメリカのバイデン大統領、インドのモディ首相、サウジアラビアのムハンマド皇太子、欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長らにより、覚書に調印されました。この「経済回廊」は中国が進めている「一帯一路」構想に対抗するもので、「経済回廊」のルートにはサウジアラビアと対立してきたイスラエルも含まれており、両国の関係改善の手段として機能するかも注目です。いよいよ世界の中での地域をクロスオーバーしていく経済連携が次のステージへと向かっていることを感じます。
そのような中、来年2024年、アメリカは大統領選挙を迎えます。外交政策における民主党と共和党の違いは、民主主義の闘いで世界的なリーダーシップを打ち出す民主党と、孤立主義的な共和党という違いがあります。ただし、今後このようなスタンスの違いがアメリカという国の方向性にどのような影響を持つのかはまだ明らかではありません。今回の「経済回廊」構想は、昨年アメリカが中心となって作られた枠組み「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」のプロジェクトで、バイデン大統領がアフリカ、アジア、アメリカを貫く経済回廊構築に意欲を示したことからの流れで進んでいます。このプロジェクトは、新たに水素パイプラインや海底ケーブルを敷設して、物、クリーンエネルギー、データの流通を促進することを目的としています。そのように考えると、アメリカの国家としてのSDGsでありESG戦略の反映とも言えます。この点は前回の大統領選挙でもポイントとなった若者の投票にも影響を及ぼすと思われます。今後の経済連携の前提に、各国の環境に関する取組方針が反映されることは十分に考えられることであり、政治の世界でもSustainability(持続可能性)が大切な要素となっているのです。
G20ニューデリー・サミット参加国・国際機関
出所:各種報道を基にあおぞら投信が作成。