
No.457 アジア人初のアカデミー賞主演女優賞から ―世界の出来事 ①―
今週の一句
"アジアから 違い生み出す シネマなり 世の常識は 破られる時"
今年のアカデミー賞7部門を獲得したエブエブこと「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は、これまで突破できなかったアジアの映画人たちにとっての大きな夢を実現させました。新型コロナウイルスによって欧米でアジア人への偏見が悪化していたことは否めません。そのような中、今回の受賞は世界がコロナ後の世界へと踏み出したのではないかと感じます。そして、アジア人ということが取り上げられなくなる日も近いとも思います。
日本に住んでいれば肌の色の違いを意識することはほとんどないでしょう。ただヨーロッパやアメリカでは肌の色の違いを感じることがあります。人が感じる『違う』という意識は、顕在していることと顕在していないことがあります。大切なことは、顕在していないことの中にある『違う』ということなのではないでしょうか。エブエブはマルチバース(multiverse:多元宇宙)を描いている作品です。すなわち、この地球で人間が多様な人間社会を形成している上に、他の宇宙が存在するという考えです。映画は想像の世界を描くことが出来ます。そして『事実は映画?よりも奇なり』であり、メタバース(metaverse:仮想空間)では、アバター(avatar:分身)を使って他人との交流を行うものですが、もうひとつ上の異なるマルチバースでは、自分が複数の宇宙の中で生きていくことになるのです。この考え方は、現代の実社会にも通じるものがあり、副業制度ができたように、一人一人は異なる世界(会社や地域)でも働けるものだと思います。これまでとは異なる想像をすることが常識を超えていく時なのだと考えます。
アカデミー賞作品賞 歴代受賞作品(2000年度-2022年度)
出所:各種資料を基に、あおぞら投信が作成。