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No.572 英国における改革党の躍進の意味は?  ― 日本の選挙の論点 ③―

今週の一句

"市民とは いつも期待に 溢れての 裏切ることなく 期待を作るや"

今年の日本での選挙に対して影響を与えている海外の政治情勢としては、米国におけるトランプ大統領や、ロシアのプーチン大統領あるいは中国における習近平国家主席のような権威主義の台頭があります。もちろんここにも各国の事情があるので一概に世界の権威主義が同様な思想であるとは言えませんが、自国中心の考え方が広まっていることは一つの流れとして認めなくてはならないでしょう。さらに他の国でもこれまでの歴史とは異なる動きが顕著になりつつあります。

例えば、英国での二大政党政治は大きな転換点を迎えています。これまで保守党と労働党という二大政党政治が続いてきましたが、今年の選挙ではナイジェル・ファラージ党首が率いる改革党(リフォームUK)が大躍進しています。それに対して、労働党政権を率いるキア・スターマー首相と、最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首はどちらも現在の状況を認めつつも何とか反撃の糸口を探ろうとしています。今年の大躍進について改革党の幹部たちは、自分たちの快進撃の背景にある原動力は『裏切られたという国民の思いだ』と述べています。人間の感情の中で最も強力なものは、負の感情であると言われています。すなわち、現在改革党が大きく支持を広げているのは、これまでの、そして特にEU離脱前後から続く保守党と労働党のいずれもが、ただ政権争いだけをしていて、国民の期待に応えてきていないからという評価があるとみられています。だから今年に入ってからは、野党・自由民主党も緑の党ですら支持を伸ばしてきているのです。ここから先、本当に政権が動くかは、改革党自身が権力の現実にどう自分たちを調整していけるのか、端的に言えば、どこまでまともにやれるのかという点だとも言えます。そして、もしイングランドの政治がばらばらで騒がしく思えるなら、スコットランドとウェールズと北アイルランドも忘れてはなりません。来年にはスコットランドとウェールズでも、議会選挙に影響があるのではないでしょうか。

日本においても、政党政治が今後どのように進んでいくのかは、やはり国民の意思の反映となるでしょう。だからこそ過去への負の感情に流されることのない未来への強い意志が必要な時なのだと考えるのです。

 

英国の世論調査における政党支持率の推移
(2025年1月~2025年6月)

出所:各種報道等を基にあおぞら投信が作成。

 

 

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