公開日:
No.568 日本の農業は新たな時代へ ― 日本の食料自給率 ② ―
今週の一句
"農業は 国を育てる 糧にして 地域の力 活かして食す"
日本の食料自給率の課題については、コメが注目されますが、それ以上に構造的な問題は、小麦や大豆などの主要な食料や、畜産飼料を海外からの輸入に大きく依存していることなのだと考えます。日本の畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉、牛乳、卵など)の実質的な自給率は、飼料を輸入に頼っているため、飼料自給率を反映するとはるかに低くなってしまうのです。また、農林水産省によると、大豆の自給率は、食用(味噌、醤油、豆腐の原料)に限れば24%ですが、油糧用(サラダ油等の原料)や飼料用まで含めた全体では7%程度と、ほとんどを輸入に頼っているのです。パンや麺類などの消費を支える小麦の自給率も17%程度と、輸入が主となっています。これだけ主要な食料を輸入に頼らざるを得ない状況は、明らかにリスクを負っていると言わざるを得ません。貿易摩擦の可能性、物流の分断、そして国内農業の持続可能性など、これらのバランスを考えていかなければならないのです。
まず、国内農業の課題としては、守られる農業だけが残っていて、これからの農業が育てられていないことにもあると思います。高齢化に対応して若者がチャレンジできる、経営力のある農業の時代に向けての施策、例えば耕作放棄地を活用した大規模農業の推進などが考えられるのではないでしょうか。また、生産コストを抑えるためにも、デジタル化を進めて競争力のある農業を創っていくべきでしょう。実際に若手の料理家たちの中では地産地消を進める動きも増えてきています。日本の野菜の多様性などを活かした日本食文化は、今や世界に誇る日本の文化として評価されています。だからこそ、日本に関する中長期的な『国土強靭化*』についても、ハード面では大規模災害でも致命的な機能停止を起こさない国づくりを進めるという考え方でしたが、これからはソフト面での地域力の向上といったことを含めた考え方に広げていき、日本の食の課題解決につなげていくことも出来るのではないでしょうか。
日本という国の良さを守り育てる発想が国民に浸透していけば、人々の成長が各地域に広がっていくのでしょう。食は大きなカギを握ると考えるのです。
*地震や津波、台風などの自然災害に強い国づくり・地域づくりを行い、大災害が発生しても人命保護・被害の最小化・経済社会の維持・迅速な復旧復興ができるよう目指す取組。2011年の東日本大震災を受けて2013年に国土強靭化基本法として法制化。
日本における小麦と大豆の食料自給率*

*2023年の概算値(重量ベース)
出所:農林水産省のデータを基にあおぞら投信が作成。