
No.510 自国の歴史と他国の歴史 ―新たな世界史 ②―
今週の一句
"自国から 他国の歴史 遠きもの 向こうに見える 我が国の鏡"
多くの人にとっては、世界の様々な国、地域に歴史があることは理解できるものですが、歴史と言えば何と言っても自国の歴史のことを考える人が圧倒的多数でしょう。自らの先祖やルーツがどのように繋がっているのか、あるいはどこで交わってきたのかを知りたいと思うことは誰にでもあることではないでしょうか。そして、自国の過去を知ることで今の自分に繋がる時間感覚が形成出来たとして、今を生きる自分の位置を再認識することが可能となります。
一方、他国の歴史については異なった時空への想像となります。他国史とは、過去の自国から見える他国を想像することで、そもそも現在の自分が見えている他国の絵とも異なる風景が見えてくることがあるでしょう。そして大切なことは、他国から見た自国の歴史にも現在見えている絵とは異なるものがあるということを知ることです。ここに自国と他国の歴史を知ることの意味があるのです。すなわち現時点での関係性と異なる関係性が、それぞれの歴史を作っており、かつここにこそ、世界の歴史が作られているという思いに考えが及ぶということがあるのです。
現在の各国、各地域の課題について、自国と他国との違いの認識で留まるのではなく、その向こうに歴史を踏まえた繋がりを想像することで、課題解決の道を探ること、ここにこそ歴史を知ることの意味があるのではないでしょうか。そして日本という国の成り立ちが、他国の歴史と深い繋がりを得ていることを再認識し、これからの歴史を作っていくために世界の中での役割を探ることが肝心な時だと考えるのです。
外国人による日本論の主な著書
出所:各種資料を基に、あおぞら投信が作成。