マーケットの見方

No.567 コメの需給の変化  ― 日本の食料自給率 ① ―

今週の一句

"おかわりと 食べて大きく 育つ子に 将来の農地 持てる姿へ"

日本のカロリーベースの食料自給率は約38%(農林水産省)と先進国の中で最も低い水準です。オーストラリアの233%を筆頭に、カナダ204%、フランス121%、アメリカ104%と100%を超える国々があり、それ以外ではドイツ83%、イギリス58%、イタリア55%となっていますが、日本は飛び抜けて自給率が低いということがわかります。ここには様々な要因がありますが、生産者の高齢化や後継者不在などによる耕作放棄地の増加や、小規模農業の非効率性といった供給面と、食生活の多様化といった需要面が挙げられます。では、これからの日本の食料自給率について、コメという視点からはどのように考えれば良いのでしょうか。

1971年から、生産過剰状態のコメ生産量を消費量に合わせることでコメ価格を維持するために行われてきた減反政策(生産調整)は、2018年に廃止されました。その後のコメ価格は数年間概ね横ばいでしたが、2024年産米は前年比で大幅な上昇が見られ、その後も高騰が続いています。今回の高騰の要因は、不作や需給バランスの乱れ、そしてコメ価格の上昇を契機としたコメの投機的な取引からの買い占めなどによる供給量の減少などが挙げられています。

日本の国内において、戦後のコメの1人当たりの消費量は、1962年度をピークに減少傾向で、ピーク時は年間118.3キロのコメの消費に対して、2022年度は年間50.9キロと半分以下にまで減少しています。まさに食生活の大きな変化の中、主食の地位は大きく下がったのです。ところが、2024年には20代、30代の若年層の3割以上の人がコメを食べる量が増えたという報道が見られました。これは外食よりも自宅での食事やお昼に弁当を持参する人が増えたといった姿のようです。また健康志向の高い外国人にコメ需要が高く、インバウンドの面からも需要が増加傾向です。

これからの日本の農業政策で大切なことは、食の変化という需要の創造とそれに対応する供給側の体制構築にあると思います。各国でみられる大規模農業へのチャレンジを若者が会社組織で出来るようになれば、産業としての価値向上が図られるでしょう。これまでの経緯を踏まえて今こそ新たな農業の流れを作る機会なのだと考えます。

日本のコメ消費量と価格の推移*

*1人当たりの年間消費量は2013年度~2024年度、価格は出荷団体と卸売業者等との相対取引価格における当該前年産の出回りから当該年10月まで(2025年は2024年の出回りから2025年4月までの速報値)の通年平均価格の推移
出所:農林水産省のデータを基にあおぞら投信が作成。

 

 

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