
No.480 2022年の中間選挙の意味 ―アメリカの立ち位置 ③―
今週の一句
"無党派の 一票の重み 痛み分け アメリカの未来 誰が決めるや"
今更ながらのようですが、昨年(2022年)の米国中間選挙の結果は、事前の予想とは異なる結果となりました。事前の予想とは民主党のバイデン大統領の支持率の低さから共和党の圧勝というものでした。ところが結果を見てみると、共和党は上院で過半数に必要な1議席増にも届かず、下院で多数派を奪還するものの数議席差の過半数に留まったのです。この事前の共和党圧勝予想を覆した要因は何だったのでしょうか。
この一番の要因は無党派層の投票先にあったとされています。投票者の3分の1が無党派層でしたが、そのうちの49%が民主党に投票し、共和党の47%を上回りました。通常、無党派層はその時の政権与党、すなわち民主党に対して否定的に行動するものですが、今回はそうではなかったということです。特に無党派層の行動によって上院選挙の接戦州において共和党候補が現職民主党候補に大差で敗れたことにあらわれています。数ある争点の中でもアメリカの多くの若者にとって、女性の人口妊娠中絶権を認めた1973年の判決を覆した保守派の最高裁判事と主張の重なる共和党の政策は受け入れがたいものだったということです。このような中間選挙を経てここから先、アメリカ国民の政治への期待はどのように進むのでしょうか。カギを握るのは、既存の2大政党への期待を持てない全体の3分の1を占める無党派層となるのではないかと思います。これから先の世界の中でのアメリカが果たすべき役割を決めていくのは、国内外とネットワークを持つ若者層でもあります。また海外からの移民も今後は影響力を増して来ると思われます。自由民主主義国家の代表であるアメリカの政治がどのような道を選んでいくのかは、日本をはじめとする他の国への影響も大きく、注目を集めることになると考えます。
2024年米国大統領選挙に立候補を表明した主な候補者
出所:各種報道を基にあおぞら投信が作成。