No.551 近代民主主義の中の金融とは? ― 金融システム改革 ③ ―
今週の一句
"地域での 金融の役割 考えて 人の動きと お金の流れ"
現在の金融を考える時のベースとなるのは資本主義であり、それを支える政治体制は近代的な民主主義であると思われます。1989年“The End of History?(歴史の終わり)”(フランシス・フクヤマ著)をイギリスで読んだ直後に、ドイツのベルリンの壁が崩壊し、ついに歴史は東西冷戦の終幕とともに、西側の民主主義が大きなアドバンテージを得たという空気を感じました。そのような中で、果たして世界のバランスは均衡を保てるのだろうかという疑問を持ったことを記憶しています。今後の近代民主主義のあり方は金融システムにも大きな影響を持っていることは間違いなく、その意味でも我々はどのような政治体制を想像すべきなのでしょうか。
例えば、中央銀行デジタル通貨(Central Bank Digital Currency:CBDC)の必要性と今後の方向性も、民主主義と金融に密接に関係しています。通貨の発行権限を中央銀行が保持している状態が、今後の各国の近代民主主義にマッチしているものであり続けるかは、必ずしも確定しているとは言えない時代なのです。仮想通貨の広がりはこのことを示しているとも言えます。日本では身近なところで地域通貨という言葉が普通に使われているように、すでに時代の変化はみられています。であるならば、そのような社会での金融の役割も常にアップデイトしていかなければ、社会で必要とされなくなる可能性もあるのだと思います。少なくとも、自分たちが働くこととその見返りとして得る収入の受け取り方から、その金銭の使い方、動かし方がここまで変化しているのですから、それ以外の場面でもお金の流れについてはよくよく意識する必要があるということです。国単位の経済と地域単位の経済での金融もそのような変化の中で、役割をしっかりと見出していく必要があると考えます。
日本銀行のCBDCについての考え方

出所:日本銀行「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」を基にあおぞら投信が作成。