マーケットの見方

No.530 未来のリスクへの理解 ― 現在のリスクとは? ③ ―

今週の一句

"ファットテール これから先に 起きること 100年に一度の 頻度上昇"

一般的に、リスク管理(リスクマネジメント)は、事業目標や事業継続を妨げるリスクを想定し、その発生を防止するための予防策を検討し対策を講じることです。一方、危機管理とは、災害や事故などの危機的な状況が発生した際に、被害を最小限にとどめ、正常な状態に復旧するための対処策を講じることが基本になります。

これに対して、市場におけるリスクマネジメントの難しさは、今現在、目の前で展開されていることを分析してマネジメントをすればよいというものではなく、ましてや過去のデータを分析してマネジメントに取り組めばよいというものでもなく、実際に必要なのは、これから起こる未来のリスクに対してマネジメントをするということにあります。ただ、現実的には、現在に至るまでのデータを基にリスク分析を行い、その結果を現在のリスク評価に用いていることが通常のリスクマネジメントです。すなわち、ここでの前提は過去に近い形で今後も動いていくだろうという仮定を置いているということです。従ってこの前提を常に認識していることがリスクマネジメントの限界との付き合い方になるのです。

『現在から未来の展開は、過去の延長線上にはない』と思うことが多い中でリスクを考える必要があるのです。例えば、中東とウクライナにおける紛争のエスカレーションにより、エネルギー市場が動揺し、少なくとも短期的には株式のリスクプレミアムが上昇する恐れもあります。その時には、ガソリン価格が上昇し、FRBの利下げ意欲が後退する可能性も出てくるかもしれません。そもそもすべてのことを事前に予測することは不可能です。そのような中で、市場のリスクマネジメントをするためには、テールリスクを考えないわけにはいかないのです。確率の問題ではなく、たとえ限られた可能性であっても、わずかな可能性が大きな損害を生み出すことを念頭においてリスクマネジメントを行うこと、その覚悟が金融のプロフェッショナルの仕事なのです。刻々と変化する世界についてのアップデートを行い、そして先を見る力が必要だと言えます。その上でお客さまの信頼を得ることが出来るのだと考えるのです。

 

テールリスクとVaR


出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。
 

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