マーケットの見方

No.534 戦後80年を迎える時  ― アジアの成長の姿 ④ ―

今週の一句

"溌溂と 選手入場 見渡して 世界に見せる 東京の街"

60年前の1964年(昭和39年)10月10日、アジアで初開催となる東京五輪が開幕しました。この大会は日本が戦後復興を世界にアピールする象徴的なイベントとなったのです。そして来年、2025年(令和7年)は第二次世界大戦の敗戦を迎えた1945年(昭和20年)から80年が経ちます。この間に、日本は敗戦からの復興、高度経済成長期、バブル期、デフレーション期を経て、新たな時代へと移り変わって来ました。日本の戦後復興を支援したものとしては、欧州でのマーシャル・プラン(復興援助計画)とは別のマッカーサーの占領政策に見られる日本への援助と、その後のドッジ・ライン(経済安定化政策)などが挙げられます。また、日米安全保障条約(1951年制定、1960年改定)の果たした役割も大きいと言えます。日米安全保障条約は、世界的な東西冷戦の間、世界のバランスの中での安定的な位置づけを日本にもたらしたのではないかと思われます。では、21世紀半ばへと向かう今後、世界のバランスが変化している中で日本の立ち位置はどこにあるのでしょうか。

世界のバランスを眺めてみると、NATO(北大西洋条約機構:The North Atlantic Treaty Organization)は、1949年にベルギー、デンマーク、フランスなど西欧10ヵ国に加えアメリカ、カナダの計12ヵ国によって発足、冷戦後は旧東側の諸国も加わり、今年2月のスウェーデンの加盟で計32ヵ国となりました。「集団防衛」「危機管理」および「協調的安全保障」の三つを中核的任務としており、加盟国の領土及び国民を防衛することが最大の責務です。日本はNATOのグローバルパートナー国で、NATOと基本的価値やグローバルな安全保障上の課題に対する責任を共有しており、現在のグローバルパートナー国は日本のほか、アフガニスタン、オーストラリア、コロンビア、イラク、韓国、モンゴル、ニュージーランド、パキスタンとなっています。

アジアでの安全保障協定には、日米、米韓、ASEAN(東南アジア諸国連合:The Association of Southeast Asian Nations)、ANZUS(太平洋安全保障条約:The Australia, New Zealand and United States Security Treaty)など2国間または一定の地域のものはありますが、広くアジア全体を結ぶものはありません。一方、経済連携では、RCEP(地域的な包括的経済連携:The Regional Comprehensive Economic Partnership)協定が2012年11月に交渉を開始し、2020年11月15日に署名されました。ASEAN10ヵ国に、日中韓、オーストラリア、ニュージーランドを加えた15ヵ国を加盟国とする本協定は、世界のGDP、貿易総額及び人口の約3割、我が国の貿易総額のうち約5割を占める地域の経済連携協定であり、地域の貿易・投資の促進及びサプライチェーンの効率化に向けて、市場アクセスを改善し、発展段階や制度の異なる多様な国々の間で知的財産、電子商取引等の幅広い分野のルールを整備しています。

21世紀以降のサステナブルな地球に向けての協定とは何か。経済連携と安全保障の関連性をどう考えるか。この課題に向かう時に、日本の役割はどのように考えるか、この問いかけが今目の前にあるのだと思うのです。

NATO拡大の歴史

出所:外務省欧州局政策課「北大西洋条約機構(NATO)について」を基にあおぞら投信が作成。  

RCEP加盟国

出所:外務省「RCEP協定概要」を基にあおぞら投信が作成。

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