
No.473 全仏オープンテニスでの出来事 ―スポーツにおける女性活躍 ②―
今週の一句
"選手とは 戦う場でも 冷静に 熱い気持ちを 如何に伝えん"
今年6月に行われたテニスの全仏オープン女子ダブルス3回戦で、加藤未唯選手がポイント間に相手コート側に送った球がボールガールを直撃、それが危険な行為として失格になってしまいました。加藤選手は強い球を当てたわけではないとの認識で、混合ダブルス準々決勝試合後の記者会見は前日の失格のショックを引きずり涙して中座してしまいました。ただしその後はボールガールと笑顔の2ショットをSNSにアップし「あなたが元気でボールガールとしてボランティア活動を続けていると聞いてうれしい」と投稿して周囲をホッとさせてくれましたが、この出来事はいろいろな関係者のリアクションを生んだのです。
まず、主審が一旦出した警告に対し対戦相手ペアが猛抗議し、最終的に裁定が変わり失格となったことから、執拗な抗議を繰り広げた相手ペアはSNSなどで批判を受けています。そして失格処分については、加藤選手は処分の取り消しを求めて提訴、プロテニス選手協会が「不当な判定」と加藤擁護の声明を発表しましたが、判定は覆りませんでした。スポーツの世界では、判定に主審の主観が入ることがありますが、選手なり観客が納得できる判断基準は必ずしも明確でないこともあるのです。今回の出来事は、試合中の選手の周囲への注意力や感情コントロールの重要性などを気づかせてくれたかと思います。この大会では加藤選手が混合ダブルスで優勝するという復活を見せてくれました。大会後には「テニスとは無縁だった私に、テニスかスノボーをしたらどう?と、テニスをするきっかけを作ってくださった小学校2年生時の担任の下井先生に20年振りにお会いしました。そして、グランドスラム優勝のご報告ができ、先生テニスやって良かったです。と言えました。テニスに出会わせてくれてありがとうございました」と感謝のコメントを出しています。今後テニスでの活躍の夢を持つ少女が、また次の少女たちも夢を与えていくこと、そのように繋がっていくことが新たな選手が生まれていくのだと思うのです。
テニス4大大会での日本女子選手の活躍
※2000年以降、準優勝以上の選手を掲載。
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。