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No.536 大学におけるPhysicsとPhilosophy ― 日本の教育の課題 ② ―

今週の一句

"物事の 道理を知りて 立ち止まり 知恵を学びて 社会に出でよ"

大学には、多様な学問分野の専攻による専門的知識の習得という目的があります。また、学術的な研究を深めることで、学問の発展に貢献するということと、社会への還元という2つの役割が期待されています。加えて、大学では社会で役立つ能力を身に着けるとともに、自己の探求と人間関係の形成の場でもあります。では、社会に出る際の準備として身に着けるべき欠かせないことには何があるのでしょうか。

ひとつは、物の理(ことわり)を理解することです。Physics(物理)を学ぶ理由は、それが物事の本質であるからなのです。Physicsの語源とされている”Phusis”とは、古代ギリシャ語で「自然」や「本質」を意味しており、そこから現代の物理学へと繋がっています。自然界の基本的な法則や現象を探求する科学であり、物質、空間、エネルギー、時間といった概念の相互作用について解析していくものです。そして、この研究成果が現代社会の情報技術などにも活かされているのです。その意味ではこの自然界の基礎とも言えるかもしれません。

もうひとつは、「人間や世界に関する根本的な問題を探求し、その本質や意味を考えること」を学ぶことです。それがPhilosophy(哲学)です。「知を愛する」を意味するPhilosophyにより、理論的な思考をもって、真理や存在、倫理などについて深い思索を巡らし、根本的な問題を把握するというものです。現代社会において起こる事象について、表層的ではなく、深いところの意味を把握することが、これからの社会課題の解決にも繋がっていくのではないでしょうか。

日本の大学には理系・文系の線引きがありますが、そもそも学問にはそのような線引きは不要なのではないでしょうか。現代社会の複雑な課題を把握し、その課題解決に向けて論理的な展開を図ることは決して簡単ではありませんが、そこに向かうような人間形成が大学の役割なのではないでしょうか。
 

2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)

出所:文部科学省 中央教育審議会「今後の大学教育の振興方策について 参考資料集 令和5年1月25日版」を基にあおぞら投信が作成。  

 

 

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