
No.503 3回目のパリ大会での五輪精神 ―今年のスポーツ界 ①―
今週の一句
"参加する ことに意味があると 人の言う 相手を想う そこに意義あり"
今年7月26日から8月11日まで五輪大会が(続けて8月28日から9月8日までパラ五輪が開催)、近代五輪創始者クーベルタン男爵の母国フランスで100年ぶり3回目の開催となります。1870年の普仏戦争に敗れたことにより沈滞ムード蔓延するフランスに生まれたクーベルタンは、この状況を打開するためにイギリスに渡るのです。そこで学生たちが真剣にスポーツに取り組んでいる姿を見て、スポーツを取り入れた教育改革の必要性を感じたのでした。それが近代五輪に繋がるのです。
その後クーベルタンは各国を巡り、中でもアメリカでは自由な空気を感じたことから、自分のやるべきことが自国の教育改革に留まらず、国際的交流へと発展していったのです。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」という彼の提唱したことは、まさに現在にこそ通じるものではないでしょうか。単にスポーツの祭典ではない五輪の役割が、今の世界情勢の中でどのように人々の気持ちに伝わるのでしょうか。それは決して簡単ではないでしょう。ただし、五輪の役割を感じるのは我々であるということが一番大切であり、そのことを感じた自分たち自身が、いったい何ができるのかを考えることこそが、近代五輪の精神を今に引き継ぐ方法なのだと思います。商業主義の中でも、この先に五輪の存在意義があるのかを、いよいよ我々が決める時が来たのだと考えるのです。
*1 開催中止、*2 開催予定
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。