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No.632 量的緩和は合目的なのか? ― 金利のある世界までの時間 ③―
今週の一句
政策を 打ってくれよと 人の言う そが力量を 育てようかと
日本銀行が2001年3月から開始した量的緩和政策(QE:Quantitative Easing)は、世界的にも前例のないものでした。ゼロ金利という金利政策から、量的緩和という新たな段階に入ったのです。中央銀行の行う金融政策とは、そもそも何を目的としているのでしょうか。これは日本でも米国でも欧州でも本質的には共通の二本柱だと考えます。ひとつは物価の安定、すなわちインフレーションをコントロールすること、もうひとつは雇用の最大化を図ることです。そのような目的に向けて金融政策を行うことが中央銀行の責務なのです。では量的緩和とはこれらの目的に合致しているのでしょうか。
よく言われるのは「景気を良くすることも目的にあるのではないか」という疑問ですが、あくまで中央銀行の仕事は、通貨・金融の基盤を整えることであり、景気を良くすることそのものを直接の目的とする機関ではないということなのです。ところが第二次大戦での敗戦後の日本の復興と約30年間にわたる高度成長は、世界でも未曽有のものであり、従ってその後のバブル崩壊も未曽有の反動と言えるものでもありました。これは、過去を学んできた人々にとっては、「バブル崩壊への対処方法には答えがない」という状況だったということなのです。その中で導入された量的緩和政策は、「貸し渋りをしている銀行の貸出や投資を活発化させ、デフレからの脱却や不景気の改善を図ること」を目的にした政策ですが、筆者が当時訴えたことは、「通貨の量を増やしても借り手側の信用は増えない、従って銀行の信用創造力は増えない」、「そもそもデフレーションの流れを変えることはできないことを認識すべきである」、「従って金融政策だけでは経済成長は生まれないということを理解した上で、今後の日本の再生を図るべきである」というものでした。そして、景気が少し悪くなると、マスメディアを通して「財政政策を出動させるべし」という大合唱が起こりますが、財政出動のそもそもの意味は何なのでしょうか。
戦後復興の中では、国家戦略としてのインフラ整備が進められ、民間企業の発起ということが促されました。そしてその力が現在までの日本の基盤となったことは世界が認めるところです。ただし、日本が世界で2番目の経済大国になった後も、官頼みの構図を続けていて、国際社会との厳しい競争にも耐えられる民間の力を育てることが出来るでしょうか。規制に守られることを前提とした企業経営では、経営人材も経営思想も育たないことになるのではないでしょうか。今も突きつけられている課題から逃げることなく、新たな時代を作ることを人の力で考え行動すること、これこそがバブルとその後の歴史から学ぶべきことだと考えるのです。
日本の一般会計歳出の推移*
(1945年度~2026年度)

*2024年度までは決算、2025年度および2026年度は補正後予算。
出所:財務省のデータを基にあおぞら投信が作成。