マーケットの見方

No.592 日本にとっての自然共生社会での実行力とは? ―COP30と向きあうこと ②―

今週の一句

"里山と 里海再生 進むとき 暮らして食べる 地が広がるや"

COP30(国連気候変動枠組条約第30回締約国会議)では、気候変動と自然、生物多様性との相乗効果について議論されており、「自然共生社会の設計」という概念がますます重要視されています。ネイチャーポジティブ(自然再興:生物多様性の損失を止め、反転させ、自然を回復軌道に乗せること)を日本国内の森林管理や地域防災に反映し、実行プランに落とし込んで実際に動き始める大きなチャンスと言えます。ただし、課題は多岐に渡っており、これをどのように有機的に進めることが出来るかという、国力が試されているとも言えます。すなわち「2030年ネイチャーポジティブ」を国家目標に据え、空間(生態系ネットワーク)、産業(農林水産・都市開発)、財政・市場メカニズム、地域参画、データ・監視の5分野で同時に手を打つ、ということが求められていると考えます。

まずは生態系ネットワークの回復のために、国土レベルの「エコロジカル・ネットワーク」マップを作成して、重要生息地の優先保全区域の指定と回復(里山・里海の再生)を進めることが求められます。加えて、都市計画に「生態系サービス指標」を導入し、緑被率、水辺環境、ヒートアイランド対策状況等を定量化し、グリーンボンドなどを活用しながら、公共インフラ(道路・河川)に生態系回廊を組み込むことも必要でしょう。また農林水産業では、生物多様性配慮型の生産基準の導入(低農薬、休耕地の緑化、持続林業認証)、漁業では漁場回復プロジェクトなども重要です。そして、経済インセンティブを持たせるためには、国・地方公共団体による緑化基金、グリーンボンドや自然資本会計の導入などを行い、企業の自然関連財務情報開示(TNFD準拠)や税制優遇へ繋げることも大切です。

これらを受け、地方公共団体の「生物多様性地域戦略(LBSAP)」の策定を義務化し、国との間で報告・評価サイクルを作るなど、国と地方一体での、地元住民・農林漁業者の意思決定参加を制度化することなども実行するべきでしょう。このように考えた時、COP30は日本にとってまさに自分事として考えるべき機会であり、実行プランを前に進めるときなのだと考えるのです。

2030年ネイチャーポジティブ(自然再興)に向けた五つの基本戦略

出所:環境省「生物多様性国家戦略2023-2030 ~ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ~」(令和5年3月31日)を基にあおぞら投信が作成。

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