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No.617 個の“志”から組織の価値へ ― 組織運営の考え方 ④ ―
今週の一句
ひとりなら やれることには 限りあり 仲間がいての 思い通じて
人が行動を起こすときに、まず何を考えて動き出すかという問いがあります。個人の何らかの思いが行動となって現れることの源とは何なのでしょうか。それは“志(こころざし)”なのです。果たしたいと思う“志”には人それぞれ違いがあります。そのような中で、個人の力だけでは実現できない価値や目的を達成するため、すなわち“志”を同じくする人が『目的達成の力を得るため』、そして『社会的な存在としての居場所を得るため』に組織を作り、組織に属するのです。自分一人の力というものには限りがあるのです。自分一人の力は本当に微力なものだと感じています。だからこそアダム・スミスのいう通り『分業の利益』で個の能力を掛け算によって組織の力に変えていくのです。
このように組織があることで“志”は成果を目指すことができるようになるのです。私の組織論の原点は『ひとりひとりの力を活かす』ことにあります。異なる個性の集まりこそが、チームの力を強く柔軟なものにするのです。そしてこのような個の集まりは『他者との関係の中で学びが生まれる』のです。ここには『知識と経験の伝承』という組織ならではの価値が生まれるのです。心理学者のアブラハム・マズローは『所属と愛の欲求』を人間の基本欲求の一つに位置づけました。仲間がいること、自分が必要とされること、共通の目的があることにこそ価値があるという考え方です。だからこそ、今になって『進化型』(ティール(Teal)組織)という考え方に戻ってきたのではないでしょうか。すなわち、目的意識の高いビジネス、人間味のあふれた組織、生産的な組織、自ら考えて動く組織が『進化型』と呼ばれるのではないでしょうか。
このような『進化型』の組織にはリスクもあります。『顧客のため』に作られた組織が、いつの間にか『組織を維持するため』に変わってしまうことはよくあることです。ピーター・ドラッカーは「組織は目的のための手段である」と繰り返し述べてきました。個人の“志”から生まれた組織は、その理念が受け継がれ、次世代が発展させていくものなのです。『お客さまの資産を守り育てる』ためには何ができるのか。そのために『お客さまの成功体験を作ること』『投資の文化を広めること』『次世代の人材を育てること』を考え続け、お客さまに接し続けることが、その組織を動かしていくのです。そして自らがその意味を発見することができる個の集まりとなれば、社会の役に立つ組織になるのだと考えます。