マーケットの見方

No.490 米国国債の格付けと今後の財政 ―各国の国債発行 ①―

今週の一句

"米国の 財政赤字の 先を見て イールドカーブ 何処に位置する"

米国財務省は2020年上期に20年物国債の発行を開始しました。米国では拡大する財政赤字への対応策を模索する中、その一環として米国国債の種類を拡充するために20年債が発行されたのです。米国国債は世界で最も安全な金融資産とされ、世界最大の売買を誇り、発行残高は4月末時点で24兆ドル(約3,400兆円(米証券業金融市場協会(SIFMA)))となりました。また米財務省によると、米国外で最も米国国債の保有額が多いのは日本で、1兆870億ドル(約150兆円)に達します。世界2位は中国の8,690億ドルと続きます。

その米国国債ですが、2011年に債務上限問題の混乱を受けて米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&Pグローバル)が最上位のAAAから1段階下の「AA+」に初めて引き下げ、世界的な株安に波及したのです。そして今年8月には12年ぶりに格付大手のフィッチが「AAA」から「AA+」へ1ランク引き下げました。このように世界で最も安全な金融資産の米国国債の評価は、静かに眠る財政赤字と債務の持続可能性に関するリスクがあることを市場に思い出させることとなります。すなわち米国経済に対して財政と金融政策のサポート力の限界があることも示しています。これまでデットシーリングを巡って政治的対立が繰り返されており今後も続くと思われます。引き続き財政や債務の統治に対する信用を低下させるとも指摘されており、過去15年間に統治は悪化の一途をたどり、社会保障など義務的支出抑制の課題も放置されたままの状態です。加えて海外での紛争に際して、米国からの支援を求めることも増えています。内外での支出とそれを支える米国国債市場については、投資家自身が評価をしていくことが肝要となります。米国では今後の経済の行方も含めて金利の位置を探っていくことになると考えます。

 

米国国債発行計画(2023年8月~2024年1月) 

 

米国国債発行残高の推移(2005年3月~2023年10月) 

出所:米国財務省HPのデータを基にあおぞら投信が作成。

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