
No.521 所得向上と資産運用 ―骨太の方針 ④―
今週の一句
"自らの マザーマーケット 見つめつつ 企業家育ち 投資広がる"
2024年6月に政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)の中で、豊かさを実感できる「所得増加」及び「賃上げ定着」がうたわれています。最低賃金について2023年に1,004円(全国加重平均)となったものを2030年代半ばまでに1,500円を目指すとしています。さらに他国に比べて大きい男女間賃金格差の解消や、非正規雇用労働者の待遇是正に向けて、働くことの意義を改めて問い直すことが必要な時なのだと思います。このように労働市場の整備を進めるとともに大切なことが資産運用になるのです。
労働による収入が、単に家計に入り預金となる姿ではお金の流れを作ることにはなりません。企業収益の労働配分の段階で次なる投資への流れを作ることこそが、インベストメント・チェーン(投資の連鎖)の基本です。すなわち、企業は個人の資産形成へのサポートを国とともに行うことが求められており、その行動が資本市場への資金還流を生み、市場の成長と個人資産の成長が同時に展開し、その流れが国の成長に繋がります。資産運用は個人の判断だけに委ねるのではなく、国と企業の支えがあって進むということなのです。iDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額と受給開始年齢の上限引き上げと手続きの簡素化など、加入者・受給者の負担軽減に取り組むといったことを含めて、ようやく資産運用が動き出したというのが日本の実態です。
これから日本が真の資産運用立国を目指すためには、日本企業の将来性への確信が重要な要素となります。母国の資本市場が最善の投資対象となれるかは、お金の流れを継続させる最重要課題なのです。この取り組みこそが資産運用業の最大の役割なのだと考えるのです。
インベストメント・チェーンのイメージ図
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。