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No.511 新たな世界史とは新たな世界観から ―新たな世界史 ③―

今週の一句

"人は生まれ 人は動いて 交わりて 海山越えて 歴史を紡ぐや"

これからの世界を考えるための世界史には、これまでの世界観と異なる視点が必要なのです。日本であれば、まずは日本の歴史があって、この国の周辺にはそれぞれの歴史がある、といったように現在の国単位に区切られた歴史が存在するという考え方を変える必要があるのです。もちろん日本は、島国という地理的な特殊性も相まって、他の国との関係について内側の論理で作られてきた部分もあるかと思います。実際には6世紀の仏教伝来や、それ以前や以降の他地域との交流などを鑑みれば、日本の歴史も決して周辺地域から切り離された歴史ではないことがわかります。

世界全体では、近代世界を形作ってきたのはヨーロッパである、という19世紀以降の世界史の常識も、それ以前を考えれば、必ずしもヨーロッパ起源の考え方や北米が経済の中心となった現在の考え方だけが、世界史の中心ではないと言えるのです。例えば16世紀のオスマン帝国が支配した領土は、現在のヨーロッパからアフリカ、アジアにまで及ぶもので、現在の国々の歴史と様々な形で重なっています。すなわち、現在の国々の歴史をバラバラに考えていては、世界の歴史を理解することが難しいだろうということがわかります。

世界の現生人類は、10数万年前にアフリカにいた共通祖先(ホモ・サピエンス)から始まり、ヒマラヤ山脈の南を抜けて東南アジアからオーストラリア大陸に行き着いた南ルートと、ヒマラヤ山脈の北を回ってシベリアに行き着いた北ルートと、ユーラシア大陸西部に行き着いた西ルートの3つのルートで広がっていったという説が有力とされます。そして時代が進んでいく過程で、人の移動、モノの移動により、世界の歴史は動いていくのです。このように、新たな世界の歴史を考えるということは、これまでの幾層にも重なり合い、変化を続けながら交わってきた歴史であり、その姿を想像することが必要となります。そしてそのような新たな世界観をひとつの絵として描けたときに、新たな世界史が生まれるのだと考えるのです。

 

オスマン帝国の最大版図

出所:各種資料を基に、あおぞら投信が作成。

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