
No.495 今年は世界的な選挙イヤー ―2024年のマーケット ➁―
今週の一句
"世界では 内に外に 争いあり 選挙で得るは 何の力や"
今年(2024年)は、世界人口の約半数である40億人が国家レベルの選挙に票を投じる年です。この選挙イヤーは、1月のバングラデシュから始まります。次に行われる台湾の総統選挙は、米中対立の中での選挙だけに日本からも緊張感をもって見守ることとなります。新年に中国の習近平国家主席は台湾について「祖国の統一は歴史的必然だ」と強調しており、世界的にも注目される選挙となります。そして3月にはロシア大統領選挙があります。現在71歳のプーチン大統領の実質的な信任投票となれば、さらに最長2期12年の任期満了まで続投が可能となります。
4月から5月にかけては、人口世界一の国となったインドでの総選挙が予定されています。モディ首相は1期目にヒンドゥー・ナショナリズム(多宗教のインドにおいて、ヒンドゥー教至上主義を掲げて国家統合を目指す動き)を進めており、もし勝利すればその方向性は揺るぎないものになるでしょう。インドは人口増加だけでなく経済力も強めており、イスラム教国である隣国パキスタンとの対立や、ロシア、中国との関係とともに米国との距離感も動的であり、世界の勢力図に与える影響も大きくなってきています。6月には、英国の欧州連合(EU)離脱以降初の欧州議会選挙となります。この選挙は今後のEUの方向性への影響を及ぼすこととなります。すなわち、これまでの移民政策や気候変動対応など、欧州で推し進められてきた政策に対抗する勢力が出てくる可能性があるということです。対ロシア制裁に変化があることも考えられます。そして11月は米国大統領選挙です。実際には1月15日のアイオワ州における共和党の党員集会から選挙戦は始まります。今回も米国大統領が世界に与える影響は大きいと言わざるを得ません。特に世界各国の独裁的なリーダーたちに大きな影響を与えるでしょう。
「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」と述べたイギリスの元首相チャーチルの言葉を思い起こすと、他の政治形態が余りにも多く目につくという昨今の情勢が頭に浮かびます。現在の世界が抱える多くの課題をどのように解決していくのか。そのためにも世界の選挙の展開を睨みつつ1票を投じることの意味を自分事として考えていきたいと思います。
2024年に実施予定の世界の主な選挙
出所:各種報道を基にあおぞら投信が作成。