マーケットの見方

No.502 江戸時代からの日本のマーケティング ―顧客マーケティング ③―

今週の一句

"江戸商人 誰もが楽しむ 呉服屋に お得意様から 粋な人へと"

マーケティングという言葉は英語なので、この考え方も米国で始まったと解説される場合がほとんどです。ところが、マーケティングを『標的市場を選択し、優れた価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である』と訳すと、この考え方の原点は江戸時代の商人(あきんど)にあるといえます。約350年前の1673年、呉服屋である越後屋の三井高利が始めた「現金払いの定価販売」はそれまでの常識を破るものだったのです。どのような価値を生んだのでしょうか。

越後屋が始めたことは「どんなお客さまにも同じくお安い値段で販売する」ということでした。それまで呉服の値段は一見さんには高く、馴染みのお客さまには安くと、相手次第で値段が異なるものでした。販売方法も訪問(屋敷売り)が主であったものを店頭中心にしてコストを下げたのです。また販売する商品が一反(幅36cm、長さ12m)ものだけであったところを、切り売りや仕立て売りを始めたのです。これら新たな販売方法を始めたことにより、江戸の庶民層や粋を競う人々(かぶき者や女性)にお客さまが拡がっていったのです。この時競合他社からの反発は大きかったのですが、それまで外部委託していた縫製を、社内で専門家を直接雇用し、即日納品とコストダウンを実行したことでファンを増やしていくことに成功して困難な場面を乗り越えたのです。このように、どの時代、どの国であっても『新たなお客さまが喜ぶ姿を想像することで、新たな商いのやり方は生み出される』ということが言えるのではないでしょうか。この時に一番大切なことは、具体的な他人を想像することです。人は自分の考えに固執しがちなので、相手の立ち位置に移ることが難しいものです。これからもマーケティングの肝は、お客さまファーストの実現にあると考えるのです。

 

出所:日本マーケティング協会、各種資料を基にあおぞら投信が作成。

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