
No.512 世界でシェアすべきこととは? ―複雑化する世界 ①―
今週の一句
"グローバル 成長曲線 描きつつ 増えるリスクを いかにシェアか"
グローバリゼーション(Globalization)とは、単なる国際化とは異なり、地球規模での、複数の資本、情報、人の交流や移動が行われることを指します。これは当然に国境を越えたヒト、モノ、カネの流動性が高まり、地球規模での一体化となることに繋がります。歴史的には、1970年代の国際銀行間の送金・決済のオンライン化が現在に繋がるグローバリゼーションの始まりです。もちろんそれ以前の15世紀以降の大航海時代や、貿易の拡大した19世紀以降にもグローバリゼーションの流れはありましたが、現在のグローバリゼーションでの地球規模化は1970年代がスタートと言えるでしょう。様々な企業活動が世界の他の地域の産業と繋がっていることにより、世界の成長をもたらし人々にとってもプラスとなったのです。
ただし、フランスの経済学者トマ・ピケティが指摘する通り「グローバル化そのものはいいことであるが、経済成長がもたらす格差拡大を放置することは、反グローバリゼーション、すなわち極端なナショナリズムに向かうリスクがある」といったことにも十分な留意が必要です。このようにグローバリゼーションにはリスクも伴うわけですが、我々はどのようなことを考えて行動すればよいのでしょうか。
引き続き世界はウクライナ侵攻、中東での紛争の拡大、台湾・中国の緊張関係など地政学リスクが高まっていることを見ると、細分化されたグローバリゼーションの中でのリスクマネジメントが必要となるのです。例えば昨今のインドのように、全方位外交の力でしたたかに立ち回っている姿もひとつのヒントになります。すなわち、現在の世界がシェアすべきことは、単なる高度経済成長におけるマーケットシェアではなく、リスクシェアであり、そのことが持続的(Sustainable)な経済成長に繋がるのだと考えるのです。
世界各国の実質GDP成長率の推移(1980年~2029年)
※2024年以降は予測
※インドのデータは財政年度ベースを表示
出所:IMF(国際通貨基金)World Economic Outlook(世界経済見通し)2024年4月を基に、あおぞら投信が作成。