公開日:
No.464 日本の銀行株の評価 ―日本株のポイント ②―
今週の一句
"ぺちゃんこの 金利で青息 吐息から 膨らむカーブ 内外にあり"
世界の金融界にとって、今年に入ってからのニュースは想定以上に厳しいものがあります。米国の銀行が金利上昇環境におけるALM (Asset Liability Management)*1の運営に失敗し預金流出から破綻したり、スイスの銀行が様々な事業戦略の失敗から国の援助を必要とするまでに追い込まれたりと、昨年の世界的な金利上昇によって、銀行経営の問題が炙り出されてきたと言えます。では日本の銀行の評価はどのように考えれば良いのでしょうか。
まず、日本には未だに中央銀行(日本銀行)の金融政策の転換点を捉えきれていない、という課題があります。ただし、既にマーケットはこれから先の転換の可能性とその後の正常化への道を意識していることは間違いありません。異次元緩和とマイナス金利政策のトンネルからの脱出は容易なことではありませんが、銀行では『国内資産に関する長期的な金利低下からの反転』ということが起こるのでしょう。そのような状況になると、銀行の資産価値の変化が想定されます。固定金利リスクの発生もありますが、一方、変動金利や、今後の固定金利についてはROA(純資産利益率)の向上が考えられるようになります。また、『海外資産の評価』という点でも金利の上昇とクレジットスプレッドの拡大で収益機会が増えています。もちろん金融機関のAT1債*2のように個別の条件チェックが命運を分けることも確かです。さらなるビジネスチャンスとしては『リテールビジネスの長期的戦略』が大きな道へと繋がっていこうとしています。これまでの短期的な収益追求から、国民の資産形成、資産承継への世代を繋ぐビジネスの構築機会が開けています。これらのOpportunity(好機)を活かせる銀行であれば、これまでの株式評価とは異なる評価を受けることが可能となるでしょう。いよいよ差別化が進むとも言えます。日本企業における株式評価の変化を示す一業種として、銀行株は注目だと考えるのです。
*1 資産と負債を総合的に管理するというリスク管理の手法の総称を指す。
*2 債券と株式の中間的な特性を持つ証券のひとつで、「Additional Tier 1」の略語。原則、償還期限のない永久債として発行される。金融機関が破綻した際の弁済順位が普通債などに比べ低くリスクが高いため、高い利回りが設定される。
TOPIX(東証株価指数)・TOPIX銀行業株価指数の推移(2000/1-2023/5)

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。