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No.606 なぜ1500mに拘るのか? ― ミラノ・コルティナ 冬の祭典 ③―
今週の一句
スピードも ペースも技術も 追い求め 完成求める あと一歩まで
「1500mはスケートの面白さが全部詰まっている種目であり、選手が理想とする滑りを表現する競技だ」と高木美帆選手の姿を見て私は感じました。
陸上競技に短距離走と中距離走、マラソンを含む長距離走があるように、スピードスケートも距離別にカテゴリーが分かれています。その中で、中距離というスピード維持と持久力(ラップ配分)のバランスが求められる1500mを主戦場に置きながら、スプリント(短距離)の500m、1000mでもトップクラスを維持するという挑戦を続けてきた高木美帆選手は、今大会3個、そして通算10個のメダルを獲得しました。これは冬の大会でのマリット・ビョルゲン選手(ノルウェー/女子クロスカントリー)の15個や夏の大会でのマイケル・フェルプス選手(アメリカ/競泳)の28個には及ばないものの、日本女子では夏季・冬季を含め最多のメダル獲得数となります。
その高木美帆選手が北京大会後に『チーム・ゴールド』を立ち上げたのは、常に世界のトップクラスの相手がいる状況の中でトレーニングをしたいということが最大の理由だったと思います。チームを運営することで、個人競技中心のスケートの中でも、チームパシュート(団体追い抜き)のように味方選手との息を合わせることの大切さを常日頃から意識できる環境に身を置くべきと判断したのでしょう。それは高木美帆選手が7歳から始めたサッカーで、ナショナルトレセン女子U-15に参加するほど、チームスポーツを体験していたことも影響していていると思います。世界最高の戦いの場で真の力を発揮するためには、常日頃の練習が重要であり、毎週のように繰り返される実戦によって、個の力とチームプレーを磨いていかなければならないということなのです。トップレベルの環境がトップの選手を厳しく鍛えてくれるのです。
だからこそ、国境を超えてその環境を求める選手を集め、そこに経験豊富なコーチがいることで冬の祭典を迎えることが出来たのでしょう。その結果が望んだとおりではなかったにせよ、このようなチームを作ったことやそのチームを運営するために悩み奔走したことで、高木美帆選手が一選手としてだけで終わるのではなく、スピードスケートの世界を変えていく新たな時代を作っていく力を得ることが出来たのではないでしょうか。選手としての戦いは終わりが近づいていますが、次の挑戦が本当に楽しみであり、注目していきたいと思うのです。
夏季・冬季大会におけるメダル最多獲得数(世界/日本)

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。