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No.539 トランプ大統領の復活劇の主役とは? ― 米国大統領選挙 ② ―

今週の一句

"政治家に 期待抱くは 街の人 景気の良し悪し 見えぬ先行き"

「以前の大統領選挙の候補者討論会では、少なくとも尊敬に値する2人の政治家が存在した。それが今は異なる姿になってしまった」という、市民のコメントがなされていたのが象徴的だった選挙が終わりました。結果はドナルド・トランプ前大統領の返り咲きとなりました。なぜトランプ前大統領を支持する人が多かったのかを考えてみたいと思います。

今回の選挙の特徴は、若者のトランプ前大統領への投票が多かったことが挙げられます。一部の大学生にとっては民主党の学生ローンの軽減案がインパクトを持っていましたが、それ以外の若者にとっての最重要課題は失業の問題が大きかったのではないでしょうか。11月1日に発表された米国の失業率(2024年10月分)は4.1%と前月と変わらず横ばいでした。現在の米国が抱える課題は、この数字の中身であり、実際に55歳以上の失業率は2.9%、そしていわゆるゴールデンエイジ(25歳から54歳)は3.5%というレベルですが、16歳から24歳の若年層の失業率は9.5%と、ゴールデンエイジの約2.7倍となっています。このように若年層の10人に1人弱が失業している状況は、これまで好調と言われてきた米国経済や、今年史上最高値を何度も更新している米国株式市場の状況とは、ずいぶんと乖離のあるものではないでしょうか。だからこそ、共和党の積極財政への期待や、対外政策への厳しい姿勢が、米国国内のインフレと雇用の問題を抱えている層へのアピールとなったと思われます。

米国の二極化の課題へは、どちらの党にも明確な答えはないものの、現状への不満が特にラストベルト地域の州での投票に表れたと思われます。ラストベルト地域とは「さびついた工業地帯(Rust Belt)」という意味で、東部から中西部のペンシルベニア州、オハイオ州、ミシガン州が含まれており、1950年代から1970年代にかけて栄えていたピッツバーグやデトロイトといった工業都市が衰退してしまった地域なのです。このような都市のこれからの復活とはどのようなものなのか。そして経済と雇用に加えて移民の問題に意識が高かった投票者に対してどのような解が示されていくのか。米国の課題は同時に他の国にとっても課題となっていくことから注目されていくと考えます。

 

米国大統領の選挙結果

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。

 

 

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