マーケットの見方

No.562 真なる農業政策改革の機会か?  ― 自由貿易の重要性 ② ―

今週の一句

"コメ高し 流通止める 人もいて 今後の農業 誰に頼るか"

世界各国を驚かせているトランプ関税ですが、トランプ米国大統領は相互関税の上乗せ分を90日間停止して各国との関税交渉を開始しました。その先頭を切って4月16日(現地時間、日本時間17日)に行われた日米交渉については、日本からは赤澤経済再生担当大臣が出席したのに対して、米国からはトランプ大統領自らも出席するという異例のものとなりました。そしてその会議においては対日貿易赤字への強い懸念が示されました。また、非関税障壁として、自動車や食品の安全基準についても言及されています。今回の日米交渉を我が国はどのように活用すべきでしょうか。

今回の日米交渉に関しては、日本国内でも「この機会に日本にとって有益な改革も進めていくべきだ」という意見があります。これは1980年代の日米構造協議を経て流通改革などが進んだことが念頭にあるのです。今回の交渉では日本にとって「コメの輸入制限撤廃」が検討事項となり得るかもしれません。現在のコメ価格の上昇は、飲食店への影響も大きくなっていますが、これは今後の農業政策改革に繋がる大きな一歩にすることも出来るのではないでしょうか。日本と世界の食品の安全基準には細かな点での差はありますが、一概に日本が世界より安全ということでもありません。農林水産省によると、日本の食料自給率は先進国の中でも最低水準の約38%(カロリーベース)であり、小麦、大豆、飼料などの主要な食材を海外からの輸入に大きく依存しています。この構造自体が日本のリスクとなっていることを改めて考える時だと思います。国内農業の課題は、守られる農業だけが残っていて、これからの農業が育てられていないことにもあると思います。高齢化に対応して若者がチャレンジできる経営力のある農業の時代に向かって、今回の交渉の中にヒントを見つけることも大切なことだと考えます。

日本の対米貿易収支とドル円為替レートの推移

(1988年~2024年)

出所:財務省貿易統計のデータを基にあおぞら投信が作成。

 

 

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