
No.484 第4次中東戦争から50年目の衝突 ―中東問題を考える ①―
今週の一句
"爆撃に 市民を巻込む 愚行なり 複雑な争い 誰が止めるや"
日本から見える中東は、いつも分かりづらい場所であることを今回も強く感じます。なぜ今このような衝突が起きるのでしょうか。パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの武装勢力は10月7日、イスラエルに対して多数のロケット弾を発射し、攻撃を開始しました。これに対し、イスラエル軍はガザ地区への報復空爆を行い、ネタニヤフ首相は「われわれは戦争状態にある」とする声明を発表しています。
10月7日は、第4次中東戦争の勃発(1973年10月6日)から50年の節目となる日であり、ハマスはイスラエルとサウジアラビアの国交正常化の動きを阻止する狙いがあったのではないかとみられています。イスラエルと中東の問題は、1948年の第1次中東戦争から続きます。この時国連はパレスチナ分割案を提示し解決を図り、それを受け入れたユダヤ人が1948年5月14日にイスラエルの建国を宣言しましたが、その分割はアラブ人側に不利であったため、アラブ連盟が反発し、翌日にパレスチナ戦争(第1次中東戦争)が勃発したのです。第1次中東戦争の結果、ユダヤ人国家、イスラエルは領土を確定させ、その領土にかつて住んでいたアラブ人たちが難民になるということで、戦争の結末を迎えました。その後も、1956年第2次、1967年第3次、1973年第4次と中東戦争は続きました。そして今回は第5次中東戦争に発展するのではないかと言われています。そして今回の衝突については、その背景に他の国との関係性が見えるということが特徴となっています。イスラエルは米国と同盟関係にあり、ハマスに対してはイランが支持を表明しています。また、9月のG20では、中国の『一帯一路』構想に対抗して、米国、インド、中東、欧州の『新経済回廊』構想が発表されるなど、世界のバランスが変化していることも、中東の問題を複雑化させているのです。このような構図となっている時に、アジアのリーダーとして日本が果たすべき役割は何か、それを考え行動することが、これからの日本への期待に変わるのではないでしょうか。
国連安保理における人道的停戦を求める決議案をめぐる各国の動向
出所:国際連合HPの情報を基にあおぞら投信が作成。