
No.459 世界一の人口となるインドのこれから ―世界の出来事 ③―
今週の一句
"国造り 人を育てる 道険し これから始まる メークインインディア"
今年(2023年)半ばにインドの人口は14億2860万人に達して、中国の人口(14億2570万人)を290万人上回る見通しとなっています。中国の出生率は近年急低下しており、一人っ子政策の影響もあり昨年は1961年以来の人口減少となっています。世界の人口は昨年(2022年)11月に80億人を突破していますが、人口増加のペースは1950年代ペースにまで低下しています。このような世界の中で最多の人口となるインドの発展はどのようなものになるのかは注目です。
2000年以降のインド経済は、家計消費など内需主導で高成長を続けてきました。新型コロナ禍以降はエネルギー価格上昇などインフレが進み、金融引き締めも行われたため成長率の低下が見られました。ただし、来年(2024年)の総選挙を控えて、ガティ・シャクティ(大型インフラ投資計画)の推進は、グジャラート州の沿岸高速回廊の建設などにより、経済活動や観光の活性化に寄与すると考えられています。モディ首相は今回のインフラプロジェクトでは、官民一体の計画推進を、人・モノ・サービスの動きの最適化により目指しています。一方、課題としては労働人口の約9割が非正規雇用の低生産性・低賃金の状況であり、製造業の成長の妨げになっています。このような課題にいかに政治指導力が発揮されるかは注目です。またG20の議長国であるインドは、韓国、オーストラリアと並んで今年のG7広島サミットに招待される予定です。このように、日本にとっても、インドの成長やインドとの協調は今後さらに重要なものとなっていくことは間違いないと考えるのです。
インドと中国の人口推移(1980-2028年*)
* インドについては2014年より、中国については2023年より推計値。
出所:IMF World Economic Outlook database: April 2023のデータよりあおぞら投信が作成。
インドの各州について
出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。