公開日:
No.619 チームの一体感とは? ― 4年に一度のサッカーの祭典2026 ② ―
今週の一句
追い込まれ 下を向く人 多かれど 声掛け合いて 円陣を組み
世界最高峰のサッカー大会の試合において、勝利を目指して戦う時に必要とされる、チームの一体感とは何なのでしょうか。
そもそも代表に選ばれる過程では、ライバルとされる選手とともに試合に出場することもあり、大会には選ばれた選手だけが試合に出る権利をもって集まるのです。いよいよ大会が始まれば、試合に出場している選手たちは、まず自分のパフォーマンスを最大限に発揮することを考え、それと同時にいかにチームメイトとの連携を保ち相手を突破していくかというチャレンジを続けながら走ります。これは、対峙する相手チームも全く同じように考え動くのです。さらに交代選手も加わり、その組み合わせは複雑性をもっています。
現在は事前のデータ分析が多岐にわたり、各選手のスタッツも事細かに提示されます。ただし、このような事前準備をいくら綿密に行っても、試合が始まると意外なことが起こるのです。それは想像していたことと、自分の肉体の反応や、味方同士の連携と相手同士の連携が複雑に交錯することによる、想定外のボールの動きが起こるのです。交代選手も、見守る監督やコーチも、一体となってそのひとつひとつの意外なことや想定外を共有し、何がベストの選択かを考え続け、そして走り、ボールを止める、パスをする、ヘディングをする、ドリブルをする、フェイントをかける、シュートをするということを、ただゴールを目指して繰り返すのです。
個々の選手たちのアタマとカラダとハートがチームとして一体となった時、さらにサポーターの熱い気持ちがそこに重なった時、このチームは一体感が生まれるのです。今大会の初戦、オランダに追いついた日本チームには、この一体感がありました。森保一監督が8年間目指してきた『チームとして全員で戦う』という方針が結実した試合だと言えるでしょう。すなわち相手にリードを許すという厳しい状況に陥った時こそ、チームの力が試されるのです。そこでは自分のプライドにこだわるのではなく、心底チームのために、仲間のために、という気持ちがプレイに表れることが一体感なのです。
そして、大会中にその一体感がさらに醸成されたチームこそ新たな景色を見ることができるのです。