マーケットの見方

No.627 改めて企業価値の向上へ  ― インベストメント・チェーン ③ ―

今週の一句

投資とは 育てる力を 与えつつ 自ら律し 価値上げんとす

日本において、2014年に日本版スチュワードシップ・コードが、2015年にコーポレートガバナンス・コードが策定された背景は何なのでしょうか。企業の目的は何であり、その経営者の責任とは何であるか、また、機関投資家の目的は何であり、その責任とは何であるのかということと、企業と機関投資家の関係が十分に整理されてこなかったことを、日本のインベストメント・チェーンの再構築に際して見直しが必要であることを市場参加者もついに気づいたということかと思います。

戦後の高度成長下では、企業は需要に応え供給態勢を強化するためにエクイティファイナンスを繰り返し、経営者はただ成長の流れに乗って時間を使っていったという状態であったと思います。一方、機関投資家は企業のエクイティファイナンスの受け皿として、こちらも受動的なマネーフローの使い道としての株式保有を行うのみであり、企業と機関投資家の間には緊張関係がなかったのではないかと思わざるを得ません。そして、高度成長が終わった後、企業の経営者は、次の企業価値向上を自らの責任において実行する必要が出てきました。一方、機関投資家も株主としてただ保有しているのではなく、企業を理解し建設的な対話を行い、同じく企業価値向上を促す必要がある立場であることに気付かされました。バブル崩壊から『失われた10年』、『失われた20年』と言っている間に、それぞれの経済主体が、自らの役割を見直さざるを得なくなったのです。

その根幹は“企業価値を高め、その果実を投資家・家計に還元し、再び企業への資金供給へと繋げること”という、日本における新たなインベストメント・チェーン構築へのチャレンジであるという意味なのです。そして、もっとも大切なメッセージは、国民ひとりひとりが、自らをインベストメント・チェーンの一員であることを自覚することなのです。

出所:各種資料を基にあおぞら投信が作成。

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